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取引における書面の重要性   三好登志行

2013/09/03

 皆様、こんにちは。 弁護士の三好です。 雨が過ぎると、一気に秋らしい気配が漂います。

 先日、ある会社(以下、「B社」といいます)の方から、次のような相談を受けました(守秘義務、プライバシー等に配慮し、事案は変更しております)。

 先日、A社から、B社の商品を100枚、1枚あたり5000円で買いたいと電話で注文を受けた。3日以内に納品してほしいという急ぎの依頼だったので、とりあえず、作成に取りかかった。ところが、その2日後、A社から再度電話があり、キャンセルしたいとの連絡を受けた。すでにほぼ商品は仕上がっている。商品100枚分の代金を請求したいと思っているが、どうしたら良いでしょうか。

 この場合、A社とB社との間では、商品100枚を50万円で売るという売買契約(請負契約等として構成することもできますが、ここでは売買契約として扱います)が成立しています。したがって、いったん契約が成立した後は、合意によって解約しない限り、B社は、A社に対して、売買代金50万円を請求できます。

 では、実際に裁判になった場合は、どうなるでしょうか?
 一概に言うことは出来ませんが、売買契約の成立自体が大きな問題となります。
 なぜなら、売買契約については、電話でのやりとりしか証拠が残っていないからです。

 裁判になると、証拠が重要です。
 特に会社で、ある程度高額の代金のやりとりをする場合、(その業界独自の商習慣を立証できれば、別ですが、原則として)せめて発注書や請書等はやりとりするだろうというふうに見られます。  
 したがって、今回のケースでは、裁判に訴えた場合、売買契約の成立が否定されてしまうことも出てきます(実際に否定されるかどうかは、他の事実等を含めて判断されていることになります)。

 事業として、取引する場合には、書面、メールが重要になってきます。最もいいのは、契約書ですが、毎回契約書を作成するというふうには、いきませんので、せめて、ファックスで1筆送ってもらうというふうにすると良いでしょう。

 

弁護士 三好登志行(兵庫県弁護士会明石支部)

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