BBCの取材を受けました
JR西日本、福知山線の脱線事故に関して、イギリスBBCと日本のNHKが番組を共同制作しているとのことで、私の事務所にもBBCの記者(ちなみに日本人の方です)取材に来られました。
私が取材を受けたのは、事故の背景にある諸事情です。まず信楽高原鉄道の事故と、JR西の安全対策のお話をしました。JR西は信楽事故の民事裁判で、責任を徹底的に争いました。おそらく社内でも、信楽の事故では自社には過失も責任もないという雰囲気が強かったものと思われます。その結果、民事裁判でJR西に責任があるという結論が出ても、JR西は信楽の事故を教訓として自社の安全管理体制を見直す重要なきっかけを逃してしまったのです。信楽の事故のあと、尼崎駅付近で救急隊員が死傷するという事故もありましたが、それでもJR西は安全管理の方法を見直すことはしませんでした。このことが、福知山線の事故調査でも問題となった、懲罰的な「日勤教育」を生み出す土壌になっていったと思われます。
取材では欧州のテレビ局らしく、欧州と日本の鉄道とそれを取り囲む文化の違いについても質問を受けました。欧州では、鉄道は通勤・通学の手段のひとつに過ぎないという位置づけ(大都市の地下鉄は除く)であり、日本のように数分遅れが出て大騒ぎになるというようなことはありません。むしろ鉄道を含む公共交通機関はある程度の遅れが出ても当然という社会的風潮があります。ところが日本では、数分から10分遅れが出ただけで、車掌や駅員は「お急ぎのところ、まことに申し訳ございません」と謝罪を繰り返します。国民の時間についての間隔、鉄道が社会において占める位置、鉄道に対する市民の期待など日ごろ考えていることをお話ししました。
番組は予定では来年4月に放映されるそうです。はたして私のインタービュー画面は放送されるでしょうか?
弁護士 佐藤健宗